日本代表

たとえばわたしが、どこかで講演をしたとする。そしてその夜、懇親会があったとする。その席上、杯をかたむけながら、「ウチでもぜひ」と言ってくださる方はけっこうな数いる。そのようなものは、多くの場合は酒の席のナントヤラで、実現することはあまりない。

とはいえこんな例もある。2年前の秋のことだ。いつもと同じような酒席のオファーだと軽く受け流していたわたしの思惑を飛び越えて、そのわずか2日後に正式オファーをくれ、2ヶ月後に研修会を開催するという電光石火の早業を見せてくれた人がいた。そのスピーディーで軽やかなフットワークに舌を巻いたものだ。

そのすぐあとにわたしは、会の感想を研修会後記(のようなもの)で、こう記している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

主催者さんにいただいたテーマは「みんなにありがとうと言われる公共事業」。サブテーマが「受注者・発注者が協力して高品質(高得点)をめざす」というもの。おおっぴらに「受注者・発注者が協力して高得点をめざす」という表明には、「さすがやなあ」と会の首謀者たるSさんに敬服するわたしだが、自身のPPTのサブタイトルからはあえてそれは外し、「信頼は現場から生まれる、そしてその信頼はストックされる」として、「信頼」や「コミュニケーション」をキーワードに、わたし(たち)の取り組みや考えを披瀝させてもらった。

冒頭のあいさつ、主催者トップのTさんから「私たちの本当のお客様である住民のため」という言葉が飛び出したのを聞き、思わずぎくっとしたあとすぐにニンマリ。「今日はいいプレゼンができそうやな」と心のなかで独りごちる。主催者あいさつというものは、どこへ行ってもつきものだが、「たかがあいさつ」と侮るなかれ。その会の方向性をきちんと指し示してくれると、あとで登場するスピーカーはとてもやりやすくなる。聴衆もまたしかりだ。

なんといったって「プレゼンテーションは送り手と受け手の創作物」(by桃知利男)なのだから。

そしてその文脈からいくと、わたしの話が終わったあと、あらかじめ分けられたグループ別で討議するという会の流れもまた、会の方向性をより確かにするものとなった。討議、とひと口に言ってもディスカッションにはならなかったかもしれないし、一人ひとりが発言するといっても、もちろんその発言すべてが本音ではなかっただろう。だが、それが本音であれ建前であれ、否であれ応であれ、なされたテーゼを一人ひとりが自分の言葉にして他人に語るという「場」が、有意なものにならないはずはないとわたしは思う。

まずやってみる。やり始めてみる。このハードルは意外と高い。

やり始めることができれば、評価にせよ点数にせよ、いわゆる成功事例を単発(もしくは数回)で生み出すのはそれほど難しいことではない。発注者が同じ方向を向いてくれているのであればなおさらである。

本当の困難はそこからだ。つづけること。つづけ始められること。成否はそれができるかどうかにかかっている。

何の気なしに「成否」と書いてしまったが、どの時点で成否を結果として判断するかについて、正直なところわたしには解がない。これは、いつまでたっても終わりのないプロセスである。結果が出たとたんに次が始まる。「わかった」とたんに次の「わからない」のスタートラインに立っている。

結局のところ、いつもわたしはそんなことしか言うことがない。だから、「かくかくしかじかこれこれをすれば高得点がとれますよ」とかを期待されても、いつまで待ってもそんな言葉は出てこない。いつだってわたしの言うことは、「オレはこうしてきた(いる)、あとは皆んなが考えて、自分の環境に落とし込んでね」でしかないのである。

だから、参加された皆さんには、「これから自分の環境でがんばってください」と言うしかない。

とても素晴らしい会だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今朝、その首謀者さんについて書かれたニュースを読んだ。

『建設通信新聞DIGITAL』公式ブログより

【三方良し、アメリカへ】

 米国・ユタ州とゴールドラット・コンサルティングが共同開催する「Breakthrough Results for Government and Business Conference 2017」に日本代表として参加する、新潟県土木部の瀬戸民枝道路建設課参事、課長補佐。同県発注工事で手掛けてきた「三方良しの公共事業改革」をベースに、「発注者、受注者(地域建設業)双方の県民(住民)に対する思いをしっかりと伝えたい」と意気込む。
 瀬戸氏は、ゴールドラット・コンサルティング・ジャパンの岸良裕司CEO(最高経営責任者)との出会いをきっかけに、三方良しと全体最適のマネジメント理論(TOC理論)を先進的に実践してきた。事例や成果を重ねるにつれ、外部に発信する機会も増え、ある講演会でその内容を耳にしたユタ州のクリステン・コックスエグゼクティブディレクター(副知事)が感銘を受け、今回の参加が決まった。
 国によって商慣習は異なるものの、「納税者に喜んでもらうための公共事業を、行政と(建設)企業が一緒に考えるという日本特有の文化を少しでも理解してもらえれば」と期待を寄せる。

https://www.kensetsunews.com/web-kan/95934

がんばってください。

「日本代表」が住む北北東に向かって頭を下げ、健闘を祈るわたしなのだった。

  ↑↑ クリックすると現場情報ブログにジャンプします

          

           有限会社礒部組が現場情報を発信中です

 発注者(行政)と受注者(企業)がチームワークで、住民のために工事を行う。

高知県情報ブログランキング参加用リンク一覧

にほんブログ村

<!–

–>

Related posts:

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

ˆ Back To Top